ALAはミトコンドリアで鉄などのミネラルと一緒になることでエネルギー産生を向上させるなど、ALA単体には無いプラスの効果が得られることが分かっています。
右図は実験室環境下(in vitro)で、ミトコンドリアを含む細胞にALAを与え、細胞で作られるATPの量の変化を測定した実験の結果です。
グラフを見ると、ALAに鉄を加えたもので、ATPの量が増加していることが分かります。ALAだけを添加したものには、この効果は見られず、何も加えなかったものと同程度の結果でした。
実験では、成長期のラットを3群に分け、ALAなし、ALA2mg/kgを添加した餌(Feを含む)、ALA20mg/kgを添加した餌をそれぞれに2週間与えました。
ALAなしの群と比較して、ALA添加群では総内臓脂肪量が統計的に有意差をもって低くなりました。また、安静時の酸素消費量が増加したのに加え、体温を上昇させるたんぱく質UCPの発現量も有意に高くなりました。
このUCPは、エネルギーを熱に変える機能をもっています。ALA摂取による体温への影響を実験で確かめた結果、投与後90分から150分にかけて高い値を示した酸素消費量とほぼ連動するように、投与後120分から150分にかけて体温の上昇が確認されました。
この実験結果から、アラプラスの摂取でラットの基礎代謝が向上し、脂肪蓄積が抑制されたと考えられます。
また、ヒトにおいてもALAを摂取することで基礎代謝を高めることができるかを確かめるため、健康な男性9名のボランティアに協力いただき、試験を行いました。ALAを含まないプラセボ群及びALA投与群での酸素消費量および体温を測定したところ、ALA摂取で酸素消費量が1.4倍、体温上昇率が1.3倍となりました。
アラプラスによって代謝が上がったことは、単なる体温の上昇だけでなく、それに伴う健康維持に効果が期待されます。また、ラットでみられた脂質抑制効果については、将来的には臨床試験を実施してヒトにおける効果を検証していきます。そのために、現在、多くの基礎研究が進められています。
アラプラスには、肌における保湿・弾力性を向上させるという研究結果があります。
ヒトの皮膚は外側から、角層、表皮細胞、基底細胞という構造になっています。肌に化粧品をつけるなどして、皮膚表面から有効成分を入れようとすると、課題になるのが角層のバリアです。肌の表面につけたものが、7~10列ある表皮細胞を越えて、基底細胞に到達し、さらにその下の真皮にまで到達することは非常に難しいと考えられています。角層を通過する分子量の目安は500といわれています。美容成分として有名なコラーゲンやヒアルロン酸は、分子量が10万以上と非常に大きいため、「表面から入る」と謳っている化粧品であっても、実質的には角層より下まで到達するのは難しいようです。
一方ALA(分子量131.1) と鉄(分子量55.8)は分子量が小さく、皮膚の中に浸透できる大きさです。角層を通過して表皮細胞に到達したALAは、表皮細胞のミトコンドリア内で反応して、代謝水が生成と同時にATPがつくられます。その結果、若々しくみずみずしい細胞、活力のある細胞ができると考えています。さらにその深部の基底層に到達することができればターンオーバーも促進され、さらに深部の真皮に到達することができれば、繊維芽細胞、コラーゲン、ヒアルロン酸が質・量ともに変化をして、結果的にハリや弾力に満ちた、若々しい肌になるのではないかと考えられています。
実際に、肌へのアラプラスの効果を確かめるために、20代~50代の女性20名を対象に実験を行ないました。ALAと鉄を配合したクリームおよびサプリメント使用群と、 ALAと鉄の配合がないプラセボ群に分け、それぞれ10日間使用してもらいました。肌の水分と弾力を測定した結果が下の図です。ALA+鉄配合クリーム・サプリメントを使用した被験者の試験の前後を比較すると、水分量が120%、弾力量が109%に上昇していました。以上の結果、アラプラスによって肌の保湿性、弾力性が大きく改善されたことが分かりました。さらに50代の群に限ってみてみると、試験前と比較して水分量は156%、弾力量は120%となり、保湿効果、弾力性の向上がより顕著に現れているのです。