学校の授業などで、誰もが耳にしたことがある「ミトコンドリア」。 2011年3月に20~60代男女1000人を対象に実施した調査によると、ミトコンドリアを「知っている」「聞いたことがある」と答えた人は9割以上に上りました。一方で、「ミトコンドリアとは何か」については、「生物細胞の中に含まれるもの/細胞小器官」「ATPをつくる/エネルギー源」など正しく理解している人もいる一方で、「微生物/アメーバ/ミジンコ/ミドリムシ/ゾウリムシ」「DNA/染色体/遺伝子」など間違って認識している人も多く、知っているようで知らない人の割合も多いことがわかりました。 ミトコンドリアのこと、正しく知っていますか?
ミトコンドリアとは、ほぼすべての細胞に存在する細胞小器官のことです。 “細胞のエネルギー生産工場”とも言われ、グルコース(糖)を原料として、“生体のエネルギー通貨”と呼ばれる「アデノシン三リン酸(ATP)」を合成しています。ATPは体内で日に延べ50~100kgが作られていますが、そのうちの約95%はミトコンドリアによってつくられています。 また、ATPをつくる過程では水がつくり出されており、その水は「代謝水」と呼ばれ、身体の水分保持において重要な役割を果たします。
1.ATP (アデノシン三リン酸)
ATPは、すべての生物に共通する、エネルギー通貨とも呼ばれる高エネルギー化合物で、ヒトのエネルギーの源となるものです。
ATPは必要に応じて即時エネルギーとして利用することができますが、貯蔵することができないため、1日の生活に必要な量として、毎日50~100kgものATPが体内で作られているのです。
2.代謝水
代謝水とは、ミトコンドリアがATPを生産する過程で作られる水分であり、成人で1日あたり約500ml作られます。
基礎代謝とはこの代謝水を作りだす能力のこととも言え、基礎代謝が向上することにより、代謝水も多く作り出されると考えられます。
このほか、代謝水の多さは肌のうるおいにつながるため、美肌に欠かせない要素でもあります。
ミトコンドリアの機能が低下すると、ATPが不足するほか、ATPがうまくつくられないことにより活性酸素が増加し、その結果身体にはさまざまな不調があらわれます。 身体を元気に健康に保つためには、ミトコンドリアを活性化することが大切なのです。
ミトコンドリアの機能を維持するために、ALAは重要な役割を果たしています。この章ではALAがヒトの体の中で果たしている役割とその効果についてご紹介していきます。 まず、ALAはミトコンドリアの中でどのように働いているのでしょうか? 下の図はミトコンドリアの中でATPができるまでの過程の一部を模式的に示しています。ミトコンドリアの中でALAからつくられるプロトポルフィリンは鉄と結合し、ヘムと呼ばれる物質を作ります。このヘムはミトコンドリアのエネルギー(ATP)生産の過程において必要不可欠な物質です。もしALAが無ければ、もちろん、このヘムを作ることができなくなります。ヘムが十分にない状態では、ミトコンドリアはエネルギー(ATP)を効率的につくることができなくなるのです。